第三話:「笑顔の裏側に」

ストーリー

北条和馬はいつも笑顔を絶やさない。教室でも、廊下でも、彼の周りには自然と人が集まる。彼の明るさは皆を元気にし、彼がいれば場の雰囲気が和やかになる。今日も和馬は友人たちと昼休みを過ごしていた。

「次の休み、どっか遊びに行こうぜ!」
和馬が提案すると、友人たちも賛同の声を上げた。だが、心の中では和馬は違うことを考えていた。自分がいる場所は、常に明るく楽しい雰囲気であっても、その中心にいる自分だけがどこか浮いているような感覚があった。

放課後、和馬は一人で図書館へ向かった。友人たちと一緒に過ごしていた時間とは打って変わって、図書館の静寂は和馬に安心感を与えた。

「やっと、一人になれた…」
和馬は本棚の前に立ち、何気なく手に取った本を見つめながら心の中でつぶやいた。その時、ふと後ろから声が聞こえた。

「何してるんだ、和馬。」
振り向くと、そこには椎名悠真が立っていた。和馬は驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの明るい笑顔を作った。

「なんだ、椎名か。いや、ちょっと本でも読もうかと思ってさ。」
悠真は和馬の顔をじっと見つめ、その笑顔の奥に隠された何かを感じ取ったように、無言で本棚に戻った。


友情の始まり

和馬は、自分の心を誰にも見せないようにしていた。だが、悠真はその孤独を感じ取ったのか、黙って隣に座った。二人の間に流れる静かな時間は、和馬にとって心地よいものだった。悠真はあえて何も聞かず、ただそこにいるだけで和馬に寄り添っていた。


次回予告:

「北条和馬が抱える秘密を知るのは、椎名悠真だけだった。友情が静かに芽生え、彼らの関係が少しずつ変わり始める。」

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