椎名悠真は、放課後の図書館で一人静かに本を読んでいた。窓から差し込む夕日が、彼のメガネに反射して輝く。彼の心の中では、最近の出来事が複雑に交錯していた。北条和馬との関係が、友情から何か特別なものに変わりつつあることを感じていた。しかし、その感情に気付いてしまった瞬間から、彼の心は動揺している。
図書館の静寂が突然破られる。扉の向こうから現れたのは、北条和馬だった。和馬はいつもの明るい笑顔を浮かべているが、その瞳の奥には何か深い悩みを抱えていることが分かる。悠真は、和馬に目を合わせることができず、視線を落としたまま、本をめくる手を止める。
「悠真…ちょっと話せる?」和馬の声が、静かな図書館に響く。
悠真は心臓が跳ね上がるのを感じながら、そっと頷く。和馬は悠真の隣に腰を下ろし、少しの沈黙が二人を包む。和馬の呼吸がゆっくりと深くなり、何か重大なことを伝えようとしているのが伝わる。
「僕…君に言いたいことがあるんだ。」和馬の声が震えている。その瞬間、悠真の中で何かが弾けた。自分の気持ちを隠し続けることはできないと、彼も感じていたのだ。
和馬は目を閉じ、深呼吸をした後、言葉を続けた。「君といると…安心するんだ。でも、それだけじゃない。最近、君のことを考えると、胸が苦しくなるんだ。」
悠真は驚きで言葉を失ったが、同時に、自分の心の奥底に隠していた感情が和馬に伝わってしまったのではないかという恐怖も感じていた。
「和馬…僕も、君と同じ気持ちなんだ。」悠真は震える声でそう言った。
次回予告: 二人の気持ちが明かされた瞬間、彼らの友情は新たな局面を迎える。しかし、そこに立ちはだかるのは、自分たちがまだ知らないもう一つの運命。次回、「揺れ動く心」。彼らの選択は、どのような未来を導くのか。
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