椎名悠真は、いつものように図書館で本を読んでいたが、その日はどうも集中できなかった。彼の頭の中には、昨日の相馬瑛士とのやり取りが繰り返し浮かんでいた。瑛士の笑顔、その無邪気な態度が、いつもクールな椎名の心を揺さぶる。
彼はふと窓の外を見上げた。そこにはサッカー部の練習をしている瑛士の姿があった。瑛士が仲間たちと笑い合い、ボールを蹴る姿を見ていると、胸の奥が少しずつ熱くなっていくのを感じる。そんな自分に気づき、椎名は目をそらした。だが、その瞬間、瑛士がこちらに気づき、手を振る。思わず返そうとしてしまった自分に戸惑い、彼は再び視線を本に戻した。
放課後、図書館で静かに本を読んでいた椎名の隣に、ふいに瑛士が現れる。「お前、やっぱりここにいるのか」と、瑛士は爽やかに笑う。椎名は心臓が一瞬高鳴るのを感じたが、顔には出さずに「ここは静かだからな」と、いつも通り冷静に返した。
「なんか、すごい本読んでるな」と、瑛士は机の上に置かれた椎名の本を手に取る。椎名は驚き、「返せよ」と冷静を装って言ったが、その手がふと瑛士の手に触れる。その瞬間、二人の間に微かな緊張が走る。触れ合った感覚が、何か特別な意味を持つように思えてならなかった。
「なんだ、この感覚は…？」椎名は心の中で自問するが、答えはまだ出ない。瑛士はただ笑って、「悪かった」と本を返すだけだったが、その瞬間が何かを変えた気がした。
次回予告:
学校中の人気者、北条和馬。彼はいつも笑顔で、誰にでも優しい。しかし、その明るい笑顔の裏には、誰にも見せない孤独と葛藤があった。彼の心を支えるのは一体誰なのか？次回、北条和馬が抱える秘密が明らかに――。
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