陽翔の告白が耳に残る。サッカーグラウンドの夕焼けに照らされた場所で、相馬瑛士は言葉を失っていた。
「俺、お前が好きなんだ。」
陽翔の震える声が、今も心に響いている。瑛士はこれまで陽翔を友人として見ていたが、その一言が全てを変えてしまった。
翌日、学校の中で二人は何度かすれ違ったが、いつもとは違う空気が二人の間に漂っていた。陽翔は普段通りに振る舞おうとしていたが、その笑顔の奥には不安が隠れていることが、瑛士にも見えていた。
「お前、今日はちょっと変だな。」友人たちが陽翔に声をかけた。
「そんなことないよ!」と笑顔で返す陽翔だが、心の中では昨日の告白がずっと引っかかっていた。
一方の瑛士もまた、どうすればいいのか分からずにいた。陽翔を傷つけたくないが、自分の気持ちに正直になる必要があった。
放課後、瑛士は再びサッカーグラウンドに立っていた。ボールを蹴るたびに、思考が空回りする。そこへ、陽翔が現れた。
「瑛士、昨日のことだけど…」
陽翔は、勇気を振り絞って話しかけたが、瑛士はその言葉を遮った。
「俺も、ずっと考えてたんだ。」
瑛士は深呼吸をし、真剣な表情で陽翔を見つめた。「お前の気持ちは嬉しいけど、俺は…まだ自分の気持ちに整理がついてない。」
陽翔はその言葉に少しショックを受けたが、同時にそれが瑛士の優しさであることを理解した。無理に答えを出さないことが、今の二人にとって一番大切なことだと。
次回予告:
相馬瑛士と桐谷陽翔の関係は、告白をきっかけに新たな段階に入る。二人の友情がどのように変化し、彼らがどのように自分の気持ちと向き合っていくのか、物語はさらに深まっていく。
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