第七話：「隠された想い」

放課後の静かな図書館に、椎名悠真は一人で座っていた。彼は目の前の本を開いていたが、ページをめくる手は止まっていた。頭の中では、相馬瑛士と桐谷陽翔のことがずっと引っかかっていた。

悠真は、最近二人の間に微妙な変化が生まれていることに気づいていた。陽翔の告白を耳にしたわけではなかったが、その微妙な距離感が二人の間にあることを感じ取っていた。

「俺も…気づいてたんだよ。」悠真は小さく呟いた。

その夜、悠真は自分のベッドに横たわり、天井を見つめていた。彼の心は常に冷静で、周囲の出来事を客観的に見ているように振る舞ってきたが、最近はその感情の鎧に少しずつ亀裂が入ってきていた。

「なんでこんなに気になるんだろう…」悠真は心の中で問い続けた。

翌日、相馬瑛士と桐谷陽翔が一緒に帰る姿を見かけた悠真は、ふと二人の背中を追いかけたくなった。けれども、彼はその衝動を抑え、いつもの冷静な自分に戻る。

図書館に戻った悠真は、本棚に寄りかかりながら考え込んでいた。「俺は、このままでいいのか…？」

悠真は自分が二人に対して感じている感情が何なのか、はっきりと分からなかった。それは単なる友情なのか、それとももっと複雑な感情なのか。自分自身が見つめ直すべき瞬間が、今訪れようとしていた。

椎名悠真の中で芽生えた疑問と感情の揺れが、彼自身の関係や周りの人々にどのような影響を与えるのか。次回、悠真は自分の本当の気持ちに向き合い始める。